第5章
「鈴木の法則」
10:90の法則を最初から丁寧に
仕事の9割を断捨離する
「10:90の法則」
仕事のパフォーマンスを最高にするためには、「自分にしかできないこと」をやるのが重要なんです。逆に言うと、それしかやらない。
「自分にしかできないこと」だけ、集中してやればいいんですよ。それ以外の「自分じゃなくてもいいこと」は他人にやってもらう。
前者が10%、後者が90%。これを「10:90の法則」と呼んでます。
自分でやること・やらないことの判断基準
90%側に分類される「自分じゃなくてもいいこと」を判断するための基準みたいなものはありますか?
いい質問ですね! たとえば、新しく事業を始めるとします。すると、いろんな仕事が発生しますよね。このときに、多くの人がやりがちなのが「一からシステムを学んで、自分ひとりでやろうとする」ということです。サーバーの知識、ブログ構築、プログラミングとか。全て自分で学び、作業することは、非効率なケースが多いと思ってます。
勉強が楽しいなら、やってもいいんですよ。ただ、心の中で「メンドいな~」と思いながら、イヤイヤ進めていくのは良くない。ネガティブな感情が少しでもあるなら、それは、ハッキリいってやらない方がいいです。やりたい気持ちがあって、さらにやっていて楽しいことなら、自分でやる。楽しくなければ、やらない。そこは大事な判断基準ですね。
たとえば、ホームページやメルマガといったシステム系、資格系、税金の勉強について。お金の話が好きなら、税金の勉強はした方がいい。けど、イヤイヤなら無理してやらないことがポイント。法律、社会のルール系に関しては、自分でイチから専門家を探す人が意外と多いんですよね。
税理士・司法書士・社労士・行政書士・弁護士の方々って…⋯⋯顧客の弱みに付け込んで、ビックリするような振る舞いだったり、価格設定をしてくる人が多いんです。だから、経営者さんから紹介してもらうといいですよ。低単価で、良い人材に繋がれるメリットがあるんです。なので、全部自分ひとりで調べる時間がもったいないですよ。
確かに、そういう方々が多いなと感じます。
そうなんですよ。ひとりでやると、「分からないから、やめる。」という考えになってしまう可能性があるし、成長するまでに時間がかかっちゃうんですよね。なので、得意な人を探し出して、任せちゃうんです。「自分にはできない。だから他人にお願いしよう!」っていうのが、成功者の思考なんですよ。「10:90の法則」を活かすんです。この思考こそが、「事業が上手くいく人」と、「そうでない人」の差なんですよね。
成功者の思考が分かる「4リットルのテキーラ」
「何でも自分でやろうとする」のか、「できないことは他人にお願いする」のか。どっちの思考を持っているかを知るための、面白い質問があるんですよ。せっかくなので、あなたがどっちの思考かを知るためにやってみませんか?では、質問してみますね。あなたは、お酒は好きですか?
あんまり飲まないです(笑)。
そうですか。では、目の前に4リットルのテキーラがあるとします。「このテキーラを1分以内に飲み切ったら、1000万円あげます」と言われたら、やりますか?
う~ん。これまでのお話から考えると⋯⋯代わりに飲める人を連れてくるって感じですかね?もしくはみんなで飲む?
正解です! そこに気付けるようになったのは、あなたにも、経営者思考が育ってきた証拠ですよ。多くの人は、「できない」もしくは「やらない」って答えますからね。
他人を巻き込めるのが「成功者」
「 全部自分で飲み干さないといけない」と思ってしまうんですね?
そういうことです。わたしだって、自分1人だったら絶対に飲みませんよ。
じゃあ、どうやるか? それこそが、ビジネスセンスの見せどころなんです。わたしだったら、「テキーラ・グイグイ大会」みたいな、面白そうなイベントを作っちゃいますね。
テキーラ・グイグイ大会! ネーミング(笑)。
「みんなで飲もう。ガンガン飲んだ人には賞金あげます!」みたいなイベントにしちゃうんです。そうしたら、めちゃめちゃ盛り上がるじゃないですか。
1分とは言ったけど、「今から1分」とは言ってないですよね? 言葉の裏に隠された事実を掘り下げることで、可能性を探し出してみる。そうすると、いろんな制限を解除することができるんですよ。
普通の人は深堀りもしないで、「今から1分で飲めるのか?」と考えてしまうんです。質問の表面だけを見て、真に受けてしまうんですよね。「4リットルのテキーラ」「1分間」「1000万円」「飲めるか?」いや、無理だ。自分には無理。そういう思考の順番なんですよね。
たまに「やります」と答える人もいるんですよ。でも、どうやるのか聞いてみると「1000万なら気合で飲みます!」って言うんです(笑)。そんなことしたら、死んじゃいますよね?
回答は3パターンに分類される
「4リットルのテキーラ」の質問に対する回答は人それぞれですが、分類してみると次のいずれかに当てはまります。
1、やりません(できません)
2、気合でやります
3、どうにかして成功させます
大体この3パターンになりますね。1と答える人は「雇われ人タイプ」。2の人は「自営業タイプ」。3の人は「1人じゃなくてもいいんですよね?」「いつって言ってませんよね?」ということに気付ける人。いわゆる「経営者タイプ」です。他人の力を借りてでも、成功させようとするんです。なので、この質問をすると、その人がどういうタイプなのか、すぐに分かりますよ。
これは 面白いですね。家族や友人に同じ質問してみます(笑)。
この「4リットルのテキーラ」の質問は、小沢さん(第2章参照)をリスペクトしている、わたしの友人のヨウヘイさんが考えたんです。たしかに的を得ているな、と思って、18年くらい前から、ことあるごとに使ってますね。
以前、わたしの母親に同じこと質問したときは、秒速で「絶対できない」って言ってました(笑)。会社員の友人に質問しても同様の回答が返ってきました。でもこれは当然のことで、一般的な仕事を専業にする人達は、こういう思考じゃないと、世の中のバランスが成り立たなくなりますからね。
他に、自分の力で仕事ができちゃう人やお酒好きの人は「気合で飲みます」って言いますね。「死んでも1000万取りに行く」って言う人もたまにいます。それは、本当の意味で、ギャンブラーだな〜、と思いますよ。お遊びならいいんですけど、ビジネスにおいて、勝てないゲームに挑戦するのは単なる無茶。経営センス、ゼロです。それなら、自分でルールを作って、自分の土俵で戦います。そうしたら、横綱のお相撲さんにも99%勝つことができるんですよ。横綱が相手なら、相撲で戦わずに、短距離走やマラソンで勝負して、確実に勝ちにいきますね。
経営者思考を突き詰めた結果、これまでやっていたことの、90%を断捨離することに成功したんです。残りのたった10%、鈴木にしかできない重要な作業だけをやっています。なので、今では本当の暇人になってるんですよ(笑)。こうやって、自分自身の勝ちパターンが分かったので、勝てる勝負を厳選して、確実に仕留めにいってますね。