第3章
「鈴木ビジョン」
夢を予定に変える一撃必殺技
お金と期限のある見積書
夢を言語化する
鈴木さん流の「理想のゴール設計」について教えていただけませんか。
まず、明確な夢を持つことです。「夢」って慣れない言葉なので、「ん?」って思われるかもしれないですけど。やりたいことを明確にするんです。わかりやすくいうと「ビジョン」のことですね。
人間は、生物のなかで唯一「夢を見れる生き物」と言われてるんですよ。今日までのテクノロジーの発達も、人間が夢を見れる生物だったからこそ実現したんです。人間だけがそうやって、進化してきたんですよね。
夢って、人それぞれ違いますよね。「自分が本当にしたいこと」を洗い出すことが大事なんです。
・子供の頃にやりたかったことは何か?
・諦めたこと、我慢していることはあるか?
・本当はやりたいのに、できていないことはあるか?
などなど、それらすべてを、ノートやスマホのメモ帳に書き出す作業をしていくんです。「夢リスト」を作るんですよね。
我慢していることの裏側が「夢」
夢をリストにするといっても、すぐには書けない人が多いはずです。夢を書くなんて、普段はしない作業ですからね。専門用語で「ブレインダンプ」っていうんですけど、まず、頭で思っていることを可視化していくんです。できるだけ数多くあげて、頭の体操をしてください。理想の目標は、夢を100個書き出すことですが、初めてやるとなると、パッと夢なんて出てこないし、苦戦すると思います。なので、ハードルが高かったら、50個、30個、10個でも⋯⋯まずは少しずつで十分です。頭の中を、どんどん細分化していきましょう。
そこで、「鈴木流・逆転の発想」で数を稼ぐ方法をお教えしますね。
日頃我慢していること、嫌なこと、人への悪口でも何でもOKです。なので、思ったこと、感じたことを「どんどん書き出す作業」をしてください。この作業に効果があるんですよ。
その裏返しが「夢」に繋がるのです。
「会社に行きたくない」の裏返しは「独立したい」。
「あの人と関わりたくない」の裏返しは「好きな人とだけ関わっていたい」。
「こんなことしたくない」の裏返しは「好きなことだけして生きていきたい」。
会社員時代の鈴木の場合でいうと、「ストレスになる人と関わりたくない」。この裏返しが「気楽に仕事できる仲間を増やしたい」みたいになるんですよね。
こんな感じで、ネガティブを反転させると、ポジティブになり、「あなたが理想とする生き方」が見えてきますよね。もし、夢がぼんやりしていて出てこなければ、「現在の自分の悩みや不満は、何なのか?」を、どんどん書き出していくのも一つの手だと思います。
ストレスの90%はお金、人間関係、健康
ストレスの正体の90%は、「お金」「人間関係」「健康問題」が占めているんですよ。人の悩みのほとんどが、この三つに分類できます。人間関係には、恋愛や家族関係・親子関係も含まれます。
わたしの場合、「嫌いな人と関わりたくない」という感情が、幼少期から強かったんですよね。プライベートでも、仕事でも同じです。
次にお金。わたしはお金が原因で諦めるというのが、すごく嫌なんですよ。といっても、別に1億円の豪邸に住みたいとは思わないし、3000万円のキラッキラのロレックスを身に着けたいとも思わないです。超高級車に乗りたいという願望も、今はないですね。
なぜそう言えるのかっていうと、自分がやりたいことを、少しでも、一度は体験できたからです。エミレーツ航空やANAのファーストクラスにも乗りました。世界には「七ツ星ホテル」というのが二つ、ドバイとブルネイ王国にあるんですけど、両方に泊まりました。高級車も、ベンツ、フェラーリを運転したり、ロレックスも試しに買いました。そうやって、いろんなことを体験させてもらったんです。
「高級なこと」を一通り試した
すごいです! 体験してみたからこそ、感じた気持ちですね。
いわゆる「一流の体験」は色々とやらせてもらいましたね。世界の高級レストランに行ったり、ロレックスの時計を即買いしてみたり。それで気持ちが満たされたか?っていうと、別にそんなことはなかったですけどね。ホテルは三ツ星程度で十分だし、車はエコカーでいい。なんなら、飛行機もエコノミークラスはイヤだけど、ビジネスクラスなら十分満足!
正直、ファーストクラスはいいかなぁ⋯⋯むしろ、過剰にサービスされて、ちょっとストレスなんですよね(笑)。ファーストクラスの場合、「CAさん、目の前でそんなに、地面に膝着けてまで挨拶しなくていいのに~」みたいな感覚なんですよ。普通の挨拶でいいから、って思いましたね。
そんな感じなんですね(笑)。
飛行機は、ビジネスクラスがわたしにはちょうどいいですね。「適度に気を遣ってくれて、あとは無理して会話しなくても、全然問題ないですよ~」って感じ。基本、放置でOKって思ってます。
ここまでの話をまとめると、達成したいこと、やりたいと思っている夢やビジョンは、とりあえず一度リアルに少しでも関わってみること、体験することが世界観も価値観も良い意味で変化します。
特に、「自分の目標の天井を体験する」ことは、大事なことです。本当に自分が理想としているものだったら、それが日常になるまで目指せばいいんです。
色々体験した中で、自分の適性ポジションを見つけることが大事なんですよね。わたしは大豪邸に住みたいとは全く思いません。大きな家に住んでしまうと、管理や掃除が大変ですからね。
たしかに、実際住んでいる人はそう言いますよね。
はい、たしかに理想は大切だけど、それが過剰になり過ぎていないかを考えるのも重要なことなんですよね。
七ツ星ホテルは、セキュリティがキツ過ぎて、なかなか気軽に前に進めないんです。あらゆる場所で、IDチェックが必要なので、正直めんどくさいです。それなら、鍵がフリーの三つ星ホテルで十分だなって思ってます。
食事に関しても、レストランに入店するときは、ジャケットを着ないといけないとか。襟付きじゃないとダメとか。そう言われるんですよ。ドバイに行ったとき、Tシャツばっかりで襟付きの服なんて持って行かなかったんですよね。だから、モンベルの小さいダウンジャケットを着ていったんです。
「なんでアラブの国で、ダウンジャケット着てんだろう?オレ。」と思いましたね。でも、着ないと入れてくれなかったし、とても居心地悪かったです。過剰に素晴らしすぎるものは、自分にとってストレスになっちゃうんですよね。
なので、「自分の適性ポジションを知ること」が大事だなと思います。
夢を「単なる予定」に変える一撃必殺技
「大は小を兼ねる」といいますけど、それに当てはまらない場合もあるんです。たとえば、映画館のような巨大なスクリーンが家にあっても困りますよね。家の広さによって、スクリーンにも適正サイズがあるわけです。
どこが自分の理想なのか。理想を固めたら、まずは触れてみる。そうすることで、適正ポジションがわかるんです。
世界一周したかったら、まずパスポートを取らないと何も始まらない。高級車に乗りたかったら、試乗会に行けばいい。超一流マンションに住みたかったら、内見に行ってみる。こういった行動をする中で、大事な作業があります。必ず「見積もり書」をもらうことです。すごく単純なことなんですけど、コレが、一撃必殺技の要素です。そうすることで、金額・予算がリアルになっていくんです。見積もりひとつで、夢が「単なる予定」になる可能性がグッと近づくんですよ。わたしはそういうのを積極的にやりましたね。より現実的にしていくために。
「理想は何か?」「叶えるための予算はいくらか?」「日数はどれくらい必要か?」など、こういった見積もりで「夢を単なる予定に変えていく」という感じですね。わたしの場合、見積もりから、夢を一通り予定に変えて淡々と実行してきました。ある程度、好きなことをやり尽くした結果、今は割と地味な生活になっちゃいましたね。
(笑)。
服も物も、最低限しか持たなくていい。いわゆる「ミニマリスト」です。年齢的に、あまりにも適当な格好もどうかと思うので、それなりに整える。最低限でいい、という考え方なんです。
どうやったらビジョンに近づけるのか、ゴールを決めて、どんどん進んでいくんです。繰り返しますが、大事なのは、「見積もりを取ること」です。まず期限を決めて、あとは、誰と実行するのか?これが決まれば、大体の道筋は明確になると思います。理想や夢は、目の前のことを頑張るためのモチベーションになりますからね。